Division By Zero

ゼロで割る

ソフトウェアを輸入するときの源泉所得税についてのメモ

税理士さんに「ソフトウェアを海外から購入する際には源泉所得税を差し引いて送金します」と言われ、以前も説明を聞いたと思いつつ、ネットでも調べてみた。

Q.
ソフトウェアを海外から購入したところ、税務署の調査が入り、支払った代金から源泉所得税がされていないといわれ、源泉所得税を徴収されましたがこれはどういうことですか?

A.
そもそもソフトウェアの購入は、著作権の使用の対価としての購入です。
さらにソフトウェアを使用するときに「利用承諾書」の書かれた字がずらずら並んだページで「承諾しますか」と表示されます。
これに「はい」と押さなければせっかく買ったソフトウェアが使えないので半強制的に押させてソフトウェアのインストールをはじめると、「非独占的かつ譲渡不能な著作権の「使用」、「利用」の契約を結んだ」ことになるのです。
このようにソフトウェアの購入は、著作権者(ソフトウェアメーカー)がユーザーにソフトウェアの利用を許可するという権利の譲渡なのです。だから租税条約によりその使用料に源泉所得税がかかるのです。もちろん国内からの購入ではかかりません。
また、ビニールでラッピングしている状態のパッケージソフトウェアは、シュリングアップしてあるといい、使用許諾に同意していないとみなされますので、単に輸入業者がソフトウェアを購入して国内の第三者へ売る場合には源泉所得税はかかりません。つまり物品扱いになるわけです。

http://www.zei-noguchi.com/pc/contents13.html

所得税は所得に対する税金で、所得を得た人が払う。「源泉」と付くと所得の源泉、すなわち、所得を発生させる側、例えば、雇用者や買い手が納めることになる。また、源泉所得税の対象には範囲があって、ソフトウェアは「著作権」の使用料だから、対象。もちろん租税条約を結んでいる国との間の話だ。

以下のリンクも興味深い話。混乱するかもしれないが、こちらは、輸出と消費税の話。

たとえばソフトウエアの複製権を子会社に与えて子会社がユーザーにダウンロード販売する場合には、子会社は海外に住所がありますので、ユーザー(日本含む)への販売は国外取引となり、消費税は課税されません。

http://jtc.air-nifty.com/blog/2009/10/post-a104.html

「複製権」にはどう税金がからんでくる?と考えると、さらなる深みにはまりそうだ。信頼できる税理士さんにきちんと相談するのがベストとわかったところで終了!

[2013/04/24追記][2013/05/02修正]

源泉所得税を差し引いて送金するか、そのままの額を送金するかは、購入時の契約次第。いずれにしても送金額に見合った税を、国内にいる送金した側が納める。わかりにくいので例をあげてみる。源泉所得税の額は、租税条約によって異なるが、ここでは送金額に関わらず10%とする。

国内業者A社が99万円のソフトウェアを海外のB社から輸入したとする。

  1. A社が税負担する場合

B社からの請求書が99万円であり、99万円を送金すると、源泉所得税は11万円(送金額の1/9)。A社は合計110万円支払い、B社は99万円受け取る。

  1. B社が税負担する場合

B社からの請求書が99万円であり、源泉所得税を差し引いて89.1万円を送金、源泉所得税は9.9万円(請求書の10%、送金額の1/9)、A社は合計99万円支払い、B社は89.1万円受け取る。(おそらく、ここでB社としては請求額と受取額の差分の説明が必要になる。A社はB社から納税したという証拠を求められることもあるだろう)

A社としては、送金額と源泉所得税の合計を費用とするのは、どちらのケースでも同じだが、額が異なる。契約時には考慮すべき。