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FBI:自動運転車は車輪付きの爆弾になる

Homeland Security News Wireに2014年7月21日に投稿された「FBI: driverless cars could be used as bombs-on-wheels」の翻訳記事です。元記事はこちらから。


FBI(米連邦捜査局)は、Googleや他の企業が市場にもたらすであろう自動運転車は、高速度での逃走劇で、追う者よりも逃げる者を有利にするような「ゲームのルールを変える」車になり得ると考えている。ある報告書は、自動運転車が「致命的な凶器」として利用される可能性についても警告している。

ガーディアン紙が公文書請求にて入手した機密扱いではないが制限された報告書によると、FBIは「自動運転車は、法の執行者とその敵対者が自動車に対して行えることを変えることに大きな影響を与える」と考えている。

同報告書の「マルチタスキング - 一度に複数の仕事をこなす」という章では、「両手を必要とする動作や道路から目を離す、といった今日では不可能なことを悪者が行えるようになる」と記されてある。

例えば、逃走車から追跡者を銃撃するなどといったシナリオが考えられる。

自動運転車は、建物や道路、歩行者、他の自動車を含んだ周囲のデジタル3Dマップを構築するために、レーザー測距や、レーダー、ビデオカメラ、GPSを利用している、と同紙は報じている。自動運転車は、障害物を避け、(通常は)交通ルールに従って、安全に目的地に到着するようにプログラムされている。

FBI戦略的課題グループの調査官による同報告書は、「自動運転…によって交通はより効率的になるが、アプリケーション悪用の可能性や、自動車を致命的武器にする方法を大きく切り開いてしまう。

安全のための機能が、犯罪者によって逆に信号無視やスピード違反を行うように書き換えられてしまったり、テロリストが爆発物を積載した車を自動運転する「車輪付きの爆弾」に仕立ててしまうことが懸念される。

自動運転車を生産しようとしている企業は、安全性を強調する。Google社は、彼らの最新の自動運転車について次のように述べている。「自動運転車は人間の介入を必要とせずに、安全かつ自律的に動作するように設計される。ソフトウェアとセンサーが全ての作業を行う。自動車は非常に基本的なものになるが、ボタンを押すだけで行きたいところに行けるようになる。」

このFBI報告書は、適切に動作している自動運転車が、事故数を減らすことに役立つことを認めている。「手動操作から生じる衝突事故に結びつく注意不足や下手な判断といったリスクは大幅に減少するだろう」と同報告書は述べる。

ロンドン警視庁の車両が1日に12件ほどの自動車事故を起している中、米国では年間約80人が緊急車両によって生命を奪われている。追跡や現場への到着を遅らせるような3ポイントターン*1や、他の難しい操作を、自動運転車で最適化することができるだろう、と同報告書は述べている。

FBIはまた、次世代のロボットカーでは、車両の追跡はより簡単になる、と述べている。「パトカーが対象車両を見失うことが少なくなり、監視はより効果的かつ容易になるだろう。さらに、パトカーで空に気付かれないように距離をとりながら追跡したり、交差点で意図的に別の進路をとりつつも、後に合流する、といったような制御も実現できる」と同報告書は述べる。

アメリカ国民の自動運転車の使用は、5年ないし7年以内に、議会で承認される可能性があるとFBIは述べている。

ガーディアン紙は、また、少なくとも当分の間は、FBIや他の法執行機関は自動運転車の追跡について心配する必要はないと述べている。Googleの最新鋭の車両は、わずか時速25マイル(約40キロメートル)に制限されているからである。

*1:訳者注:Uターンできない狭い道路で、一度切り替えしてターンする方法