「メガネをかけたら」を読んだ
新聞で書評を読んだ記憶があり、読んでみた。
- 作者: くすのきしげのり,たるいしまこ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/09/26
- メディア: 大型本
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端的に言えば、メガネをかけたら、メガネなしでは見えなかった優しい心が見えた、という話だと思う。その前ふりとして、「メガネをかけてもおりこうになるわけではない」、「メガネをかけたらかわいくなるわけではない」、「メガネをかけてもそらがとべるようになるわけがない」と主人公に言わせるわけだが、先生は言う。「メガネをかけたらよく見えるのよ」と。
主人公が「あるわけない」と否定したメガネの利点はなくとも「よく見えたほうがいい」と担任の先生は言うが、現実はどうだろう。わからないほうがよかった、知らないほうがよかった、と思わされる場面は人生に何度も訪れる。メガネをかけたら、メガネなしで見えなかった優しい心が見える反面、見えなかった優しくない心も見えてしまうのだ。果たして、メガネはかけるべきなのか、よく見えるようにしたほうがいいのか。
この絵本はそこまで問いていないと思う反面、もしかしたら、それでも「よく見えたほうがいい」のだと子供たちに訴えているのかも、とも思う。主人公のお母さんが「おりこうに見える」、お父さんが「かわいく見える」と、娘にメガネをかけさせようとするのに対し、担任の先生はストレートに「よく見える」からかけたほうがいいと言う。親がはぐらかしてしまうことを先生が正してくれいるような。お母さんも先生からの電話で、娘に伝えるべき内容を悟ったのかもしれない。
世の中は歪んで見えてしまうこともあり、また実際に歪んでいるのかもしれないが、それを矯正して見る力を、人の理性は、心は持っているのだと信じたい。少なくとも、主人公の女の子が前半見せるような素晴らしい想像力を彼らの可能性と考えると、子供たちには「メガネをかけたらよく見えるのよ」と、はっきりと言えるような大人でいたいと思った。そのためには手を抜かず、もっと見えるように努力しないといけないと思う。
いい絵本に出会えました。